ちょっと未来の話
「…」
「ユキ、外出して大丈夫なの?」
「大丈夫…それに、私がリーダーみたいなものだから…まとめないと…」
「無理しないでよ?」
「分かってるわよ…でもそんな心配しなくても…」
「心配するわよ、だって私の妹だもの。」
「人間世界の戸籍上八雲姓になって2年以上経つのにまだ言いますか」
「よし、突っ込みはいいから大丈夫。」
「はぁ……」
にしてもこの妹の病が原因不明である。
マイから聞いたが、ユキは元々体が弱いらしく、魔界で流行った病気は一番にかかってしまうらしい。
それでも元気にボケを捌ききれていたのは、魔界人であったから神綺さんに守られていたからだろう。
しかし、魔界人をやめたことによりその守護がなくなり…1年目は元気だったものの、今年は休日は外出さえも拒むとたまに様子を見る藍が言っていた。
でも、今日はたまたま皆が勢揃いしたため、みんなで幻想郷を歩こうと言うことになった。
で、今に至ると。
私はただの妹様とお嬢様のメイドでしかないから何もできないけど…
姉としてふざけることならできる。(おいてめ
これならいくら体が衰弱してても騒げるだろう(オイ
そう思っていると、ユキが吐血した。
おいやべぇぞこれ。どんな病名だよこれ。
焦っているとユキの隣で日傘を差している妹様がユキを見てこう仰った。
「あ、咲夜ぁ、絶対変な事考えてたでしょ。そんなことするから吐血しちゃうんだよ~ ユキ大丈夫?」
「妹様天使…って、そんな事考えてる度に吐血したら絶対血液足りなくなるから!常識的に考えて下さい!」
「おや、咲ちゃん珍しくツッコミ」
むげっちゃん…大きなお世話だ。
「病名とはなんでしたっけ?」
きくりん、私も知りたい。
「…ユキ、無理しないで下さいなのです…」
里香はまともだ…
「そうだよ、里香の言う通り。でも皆と行動するのは私は楽しいな!」
「かと言ってオレンジ…こっとんと藍と橙とゆかりんは?」
妹様が妹様じゃない…?
「私は?」
「先にどっか行っちゃった」
「ねぇ、私は?私は?私は?私は?私は?」
「うるさいよ未だに中二病発症してる義妹が」
「ユキ姉酷いっ」
相変わらずの中二病なのか…アリス…
「あらユキ、ツッコミの勢いは衰えたけどやり方は変わらないってことは元気ね」
「きくりん…多少無理してるのよ私」
「あははっ、ごめんなさいね」
「ごめんねみんな~突っ走っちゃって~」
橙が小兎姫達を連れて戻ってきた。
「もう、遅いからユキが吐血したのです~」
里香が笑いながら言う。
「え、そんな…ごめんねユキちゃん!」
橙は素直だからからかいやすいとでも言うような顔をしながら、里香は橙の頭を撫でて言った。
「冗談なのです。そんなことする度に吐血されたら血液がなくなるのです。」
「だよね~…良かった…」
「私を思いっきりいじってたよね!?…でこっとん…大丈夫?着物が破れてるけど…」
「問題ないわ」
「…でも…」
「貴女よりは不憫ではないから」
「分かった。」
「分かるのかそこで。」
「藍、突っ込んだら負けよ。あの子はあの子なりに合点するところがあるの。」
「そうですか…」
「そうじゃないと納得しないでしょ」
…一連の流れはさておき、誰一人欠けることなくこの会話がずっと続きますように。