平穏すぎた日常
「ユキ、何してるの?」
「あ、フラン。勉強よ勉強。」
「へー」
ユキが外の世界の学校に通い始めて、1ヶ月以上の月日が経った。
今では魔界の事を口にしても泣く事もなく、受験勉強に専念していた。
元からあたいは外の世界にいたから分かる事は教えてあげようかなー、と思っていたけど全力で否定された。
…まぁ、普通科目指してるユキに工業高校に通ってるあたいが説明しても、何の足しにもならないよね。 とりあえず、見守ってはいるけど。
「ユキ、もうそろそろ休憩したらどうです?」
「いや、まだやるわ。」
無理しすぎで倒れられるのもあたいとしては嫌だ。もうすぐで卒業式だし、受験だし。
「…に、してもよく友達できましたね!そんなあなたがあたいは羨ましいのです!」
「そんなこと言われても私困るわよ」
彼女は視線を問題集に向けたままそう言った。
「いいなー、友達が多くて。」
「妹様に親しくしてくれる人は皆友達ですよ!」
「あ、咲ちゃん」
そう考えれば、確かにそうだ。あたいにも、11人の友達がいる。
そう思っていると、キクリが月から出てきた状態でクッキーとココアを今いる人数分持ってきてくれた。
「あ、キクリありがとう。」
「偶には休みもいれなきゃ。本番前に倒れたらどうするのよ。」
「そうね…有難う。」
キクリがあたいが言いたいと思った事をずばっと言ってくれた。
うん、言えばよかった。
「ああ、試験の日は重要だって事位、私分かってるから、キクリの言ってる事分かるよ!」
「でもこの問題解いてからにするわ。」
「え…」
「え…」
「あら、まぁ…;」
「さすがユキですね…;」
まぁ最後の一問だし…仕方ないかな。
そう思いながら彼女が解いている問題集を見ると、珍しくあたいでも分かる問題を間違えていた。…先に言っておこう。
「ユキ、ここの問題は違うのです。こうじゃなくて…」
何の変哲もない、普通の日常。